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よろしくお願いいたします。シェフはご紹介いただきました和泉シェフとはどのようなきっかけでお知り合いになられたのですか?
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調度、同時期に内海会の理事になりまして。それ以来親しくさせて頂いています。話すと実家が和菓子屋とか、共通点も多くて…。それに私は知り合う前から色々なところで和泉シェフの活躍を知っていたので、初めて会ったときからすごく親近感を持っていました。歳も近いので先日の和泉シェフの活躍は自分のことのように本当にうれしかったです。
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なるほど。ご実家が和菓子屋さんというお話が出ましたが、シェフはなぜパティシエの道を選ばれたのですか?
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小学校2年生までは父親の跡を継ぐぞ!!と、何の迷いもありませんでしたが、小学校3年のときに兄が持っていた“KISS”のレコード聴いてあまりの迫力に感動!!子供ですからね、夢もあっという間に変わってそれ以降はバンド漬け。将来も音楽の道に進みたいと思っていましたね。
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それがなぜ、初心に返ることに?
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小学校から中学1年までの間にバンド仲間を集め、高校時代は全国各地をライブしながら回りました。学校もライブのために早退するほどのめりこんでいましたね。でも卒業間近になるにつれ、将来を考えメンバーが1人、また1人と抜けて…。私が最後まで残りましたが、他のメンバーと新たにやる気も起きなくて、解散したわけです。
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全国ライブまでしながら、もったいないですね・・・。
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でも、プロからのスカウトなどは残念ながらなかったですしね…。そこで、自分の将来について考えはじめたのです。で、すぐに頭に浮かんだのが当時大好きだった女の子との結婚。彼女のご両親にも会いに行きましたね。今考えると当然ですが、働いてもないのに結婚は早いと言われて。それならば働くぞ!と、甘いものは嫌いではなかったので、ケーキの卸をしている会社の工場に入りました。これがケーキとの出会いになりますね。
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彼女のためになんてすごい!でもその時にお父様の店で修業とはならなかったのですか?
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この時は、お金を稼ぐことしか考えていませんでしたから、流れ作業のケーキ作りに疑問も持たず、満足していました。
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では、シェフがパティシエの道に入る転機はいつ訪れたのですか?
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工場に入って3ヶ月目だったと思います。父の店にも来ている業者さんが私に気付いてくれ、工場で働くよりも技術を身につけることの出来るお店で働いたほうがいいと勧めてくれたのです。確かにこのままでいいのか?と少しですが心に引っかかる部分もあったので、業者さんに紹介してもらい、私を現在に導いてくれるお店に入ることになったのです。
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そこで大きな出会いがあった?
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そう。私にケーキ作りのいろはを教えてくれた辻口シェフと安食シェフにこの店で出会ったのです。この縁がなかったら今の私はいないですね。でも、入店当初の私はひどかったのですよ…。
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何がひどかったのですか?
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お恥ずかしい話ですが、まずは面接のときにジーパン、ジャンバー、裸足にサンダルで行きましたね。お店に到着してスタッフにジロジロ見られたときはさすがにヤバイと思って慌てましたね。必死で裸足の足を見られないように隠したことを覚えています。よく雇ってくださったと思いますよ。さらに入社初日から4日間連続で寝坊。普通では考えられないですよね。
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確かに…。でもその頃から大物ぶりを発揮されていたわけですね?
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ご冗談!先輩たちには「社長出勤」と嫌味をさんざん言われましたよ(笑)。でも、この連続寝坊が甘かった私の目を覚ましてくれるきっかけになりました。
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といいますと?
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会社には近くに若手が寝泊りする寮があったのですが、最初嫌がって入らなかったのです。でも寝坊事件の翌日から心機一転、寮に入って頑張ることにしました。その後は、一から多くのことを辻口シェフに教えてもらいました。たくさん怒られましたが、その1つ1つに自分への愛情が込められていることに気付き、仕事への心構えも変わってきましたね。
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心構えが変わることで変わったことはありましたか?
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仕事に集中できるようになった頃から、辻口シェフや安食シェフが仕事の後も厨房に残って作業していることに気付きました。あんなに働いた後になんでまだ仕事をするのか不思議になり、片づけを手伝いたいと申し出てその様子を見せてもらったのです。
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なんのお仕事だったのですか?
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コンクールの準備だったのですね。何も形のない材料から素晴らしい作品が生まれるのを目の当たりにして、ものすごい感動を覚えたのです。仕事にさめている自分でもこんなにも感動するのだから、他の人は衝撃を受けるはず。私も自分が感じたような感動を人に与えることが出来ないかと初めて思ったのです。それからはさらに仕事に身が入るようになりましたね。
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でも、仕事が面白くなり、忙しくなると大好きな彼女にはなかなか会えないのでは?
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そうなのです。結局彼女には忙しくて会えないのが原因となり、ふられてしまって。結婚のために頑張っていたのに本末転倒の結果となり、荷物をまとめて帰ろうかと思いましたね。
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それはショック。でも帰られなかったから、今のシェフがいらっしゃるわけですよね。
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そう!その時、元気をなくしていた私を辻口シェフが慰めてくれて。ふと思ったのです。ここで投げ出したら今まで頑張ってきたことが無駄になる。それにこの仕事をはじめたからこそ素晴らしい先輩達にも出会えたのだから頑張ろうと…。この時から自分なりの将来のビジョンがはっきり決まり、自分にもよりストイックになりました。
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良い事も、悪い事も、すべてが現在のシェフの糧になったわけですね。
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それに、小学校時代の苦い思い出もその時に蘇り、父のお店を継いで頑張りたいと思ったのです。
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辛い思い出とは…?
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小学校の下校のときに、女子高生が実家の店の話をしながら後を歩いていて、店の前を通った時に「ここのお店、暗いし、お客さん見たことないね。」と話していたのが聞えたのです。悔しかったですね。小さいながらに見返してやりたいと思いました。
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それがシェフの頑張りの素になったのですね。
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そうかもしれません。父の店を継いで9年になりますが、まだまだこれからです。でも、父には感謝していますね。フランスから戻った私に店を継がせた時からすべてを任せてくれ、何も言わずに見守ってくれましたから。そのお陰で、自分ですべての責任を背負わなくてはならず大変でしたが、オーナーとしての自覚ややるべきことを失敗しながらですが早く吸収できたと思います。
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食品を扱うお店は本当に大変だと思いますが、お店を持つことの喜びは何ですか?
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お店の経営の99%は大変なことばかりですが、自分を表現したお菓子を食べてお客様が喜んでくれるという残りの1%の喜びとやりがいでその苦労は吹き飛んでしまいます。だからこそ続けられるのだと思いますよ。
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なるほど。お店に入って思ったのですが、ケーキはもちろん、店内の装飾やパッケージ、ディスプレイに至るまで、様々な所にシェフのこだわりを感じたのですが…。
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ありがとうございます。最近になってやっと自分らしい自然体のお店になってきたと思います。店を継いだ頃は気持ちばかりが焦り、自分自身を大きく見せようと無理をしていたようで、それがお店にも出ていたように思います。そんな頃にTVに出演することがあって、それを見た奥さんから「よく見せようとしてない?ありのままの自分を出せばいいのに。」と言われて目から鱗が落ちました。今はケーキ作りも店作りも無理をせず、自分の考えをありのままに表現しているので、自分がお店にいることが心地よくて楽しい。その雰囲気がスタッフにも、お客様にも伝わっていると思っています。
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お店の雰囲気が温かくやさしい感じがしたのはそのせいだったのですね。でも、ものすごい数の商品アイテムで、無理をせずにこれだけ出来るのはすごいですね?
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今日のうちのスタッフの無理なく出来る量が、店頭に並べさせていただいている商品量です。力が増せば商品数やアイテム数も増えますし、その逆もあります。昔の私なら無理をしてでも商品を揃えるでしょうが、今は無理はしません。
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常連さんにはお店の状態が商品数などでわかるのですね。では最後に今後の展望などをお聞かせいただけますか?
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まずは、一緒にいる仲間たちがもっと心地よく働けるお店を作りたいです。この店で修業したことが1人1人の人生で大きな糧になり、振り返ったときにこの店で働いてよかったと思える店にしたいですね。ここで頑張ったスタッフには私を踏み台にしてどんどん大きくなっていってほしいですから。スタッフが心地よく働いていればそれがお客様にも伝わり、いい店になると思うので。さらに、将来的にはフランス菓子でも、ドイツやスイス菓子でもない『神田菓子』を世界に発信できればと願っています。
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シェフたちのような後輩の活躍を願う方々が多いからこそスイーツ業界はこんなにも躍進しているのですね。納得です。それに神田菓子、楽しみです。まだまだお話をお聞きしたいのですが、次回ご登場いただくシェフをご紹介いただけますか?
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では、私の恩師であり、目標としている辻口シェフをご紹介します。
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洋菓子に限らない幅広いご活躍をされている辻口シェフ。お目にかかるのが楽しみです。ありがとうございました。
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神田シェフから辻口シェフへのメッセージ いつも辻口シェフを目標にして頑張っていますので、これからも素晴らしいシェフでいてください。 |
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