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パティシエと職人の素顔

パティシエと職人の素顔 洋菓子編2 パティスリーポタジエ

ショートケーキの上には赤く光るプチトマト。牛蒡入りのショコラに小松菜を練り込んだロールケーキ、はたまた白菜、大根、長ネギなど、ショーケースにはおよそ普通のパティスリーではお目にかかれない野菜たちが美しく並んでいます。

今回は日本で(もしかしたら世界でも)唯一の野菜スイーツ専門店「パティスリーポタジエ」を取材。オーナー・パティシエの柿沢安耶さんに、野菜とスイーツの甘く優しい出会いについてうかがいます。

[2007年4月号]

柿沢安耶さん

<柿沢安耶さん経歴>

1977年 東京都生まれ。
大学在学中、料理研究家のもとでフランス料理を学ぶ。
2003年 パティスリーやカフェ勤務を経て、栃木県宇都宮市で「オーガニックベジカフェ・イヌイ」をオープン。
2006年 東京・中目黒に「パティスリーポタジエ」オープン。

<出版情報>

柿沢シェフレシピ本「野菜のスイーツ」 2007年4月27日発売!

<メディア情報>

  • クロワッサンで味わいのある野菜スイーツでポタジエが紹介されました。
  • フジTV「笑っていいとも!」でポタジエスイーツが紹介されました。

野菜スイーツを作ろうと思ったきっかけは?

私は調理や製菓の専門学校出身ではなく、普通の大学へ通ってフランス文学を専攻していたんですね。一方で料理も大好きだったので、大学在学中にフランス料理研究家のもとで学ぶようになり、フランスへ留学もしました。でも昔から肉を食べるのが苦手で、料理よりお菓子作りに興味が出てきたんです。それで大学卒業後はパティスリーやカフェで働きました。

柿沢安耶さん ところが菓子作りの現場を見ると食品添加物が多く使われているし、大量に作って冷凍し、小分けして販売するなどというやり方が私には受け入れにくいものでした。またその頃、ベジタリアンやマクロビオティックの考え方に出会ったんですね。有機栽培の食材にこだわることで体が健康になるという考えにとても共感してマクロビオティックの学校へ通い、私自身もベジタリアンになりました。そして26歳の時、地場の有機野菜を使った「オーガニックベジカフェ・イヌイ」を栃木県で始めたんです。

ただ私が東京出身ということもあって、都内にお店を持ちたいという夢がありました。でも東京にはオーガニック素材を使ったレストランやカフェが昔に比べ増えていて差別化が難しかった。それならカフェで好評だった野菜スイーツの専門店にしようと思ったんです。

野菜とスイーツは、本当に合うのでしょうか?

野菜は果物以上にスイーツと合う食材だと思います。基本的に果物は生で食べるのが一番おいしくて、火を入れるにしても煮込んだりジャムにしたりという程度です。一方、野菜は生でもおいしいし、加熱方法も蒸す、茹でる、ソテー、オーブン焼きなど様々。切り方ひとつで味の表現が変わりますし、まさにあらゆる可能性があるんです。手を加えておいしいものを作るというケーキの世界には、すごく向いていますね。

野菜スイーツの組み立て方には2パターンあります。1つはトマト、カボチャ、紫芋、人参など、そのまま野菜が主役になるお菓子。もう1つは大根、長ネギ、白菜、牛蒡など、他の素材の力を借りてスイーツにするもの。例えば白菜ならライチを合わせたり、長ネギはチーズケーキに。小松菜はスポンジ生地に練り込んで使います。「ゴボーショコラ」はお店でも大好評なんですが、本当に牛蒡とチョコレートはよく合うんですよ。5ミリ角くらいに刻んだ牛蒡をバターでソテーして使うのですが、ナッツ入りのブラウニーをイメージしていただくといいかもしれませんね。

お店のオープンから1年。野菜スイーツの世界は広がりましたか?

柿沢安耶さん 開店の時はお客様もびっくりされたみたいで、「普通のケーキはないの?」と(笑)。オープンの時に小松菜入りのグリーンショートにイチゴをのせたものと、トマトをのせたものの2種類を出していましたが、グリーンショート・イチゴが完勝でした。でもクリスマスに再びグリーンショート・イチゴを出したところ、「グリーンショート・トマト」が完勝と大逆転。みなさまに認知されてきた実感があり、9ヶ月でここまで変わるとは嬉しい限りです。また繊細な野菜の味を生かすために砂糖はかなり控えめですし、契約農家から直送されるオーガニック野菜は味に深みがあって栄養価も高いんです。年配の方に「甘くなくて食べやすい」と言っていただけるのも嬉しいですね。

そうやって、おいしく体にいいケーキを作るケーキ屋でありたい一方、これからの時代は食や環境の問題も考えていかなくちゃいけないと思っているんです。うちでは小麦粉やてんさい糖なども国内産にこだわっていますが、その理由のひとつは食料自給率やフードマイレージの問題に関心があるからなんです。なぜ国産の食材がいいのか、なぜオーガニックなのか。お店が情報発信の場になって、先日はお客様と一緒に栃木の有機農家を訪ねて農業体験をするツアーをやりましたし、4月末には2冊目の野菜スイーツの本が出版される予定です。今後も野菜の世界をどんどん広げたいなと思っています。

過去のコンテンツ:2004年8月〜2006年12月まで、
活躍中の29名のパティシエ、パティシエールにご登場いただきました。

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